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【天皇陛下ご譲位】
皇室制度を考える 大原康男・国学院大名誉教授「陛下が『おられる』だけで共有される安堵感」





国学院大名誉教授の大原康男
      (大山実撮影)

そもそも論になりますが、公務を執り行うことができなくなった天皇は、地位を退かなければならないのでしょうか? 私はそうではないと考えます。

 思い起こしてみてください。昭和天皇闘病中、皇居前には人々が記帳のための長い列をなしました。秋雨の中、何時間も何時間も待ちました。

 先の大戦、そして焼け野原からの復興、経済成長…。激動の時代をともに過ごしたという共感を人々が抱いていたからこそ、1千万もの記帳が集まったのです。

 戦後、天皇は「統治権総攬(そうらん)者」から「象徴」へと位置付けが変わりましたが、精神的、文化的、社会的統合のシンボルであり続けています。

 天皇の「象徴」としての機能は、被災地訪問や行幸などの目に見えるものと、「おられる」だけで国民が安堵(あんど)感を共有するという性格のもの、大きく二つに分けることができます。「公務をできなくなったら退かなければならない」というのは、あまりに前者を重視し過ぎた見方ではないでしょうか。天皇の存在は、無意識のうちに社会の安定につながっているのです。

 こうした理由から私は譲位には反対です。皇室典範は精神、身体が重患、また、重大な事故で国事行為を行うことができない場合に、「摂政」を置くと規定しています。この条件に「高齢」を加えれば、譲位をされなくても対応できる。これが私の考えです。

ただ、どうしても譲位の制度を導入するというのなら、一代限りの特別措置法ではなく、皇室典範改正によって対処すべきです。特措法では、天皇の恣意的(しいてき)な譲位を認める「前例」を作ってしまうことになる。仮定の話ではありますが、将来、「この法案がいやだから譲位する」といった事態が起きれば、政治混乱を招きかねません。

 さて、陛下のご公務の負担軽減に関してですが、宮内庁は何年も前から減らそうと努力しています。しかし実態はそうなっておらず、今上陛下は壮年期と変わらない量をこなされています。地方から行幸などの要望が多く、しかもご訪問の頻度に不公平が生じてはならないので、なかなか軽減できないようです。

 難しい問題ですが、陛下の名代として他の皇族方代行していただくことで、ご公務の量を減らしていくほかないと考えます。

 皇位継承できる皇族が限られていることも問題です。平成16年12月に小泉純一郎政権有識者会議が設置され、将来にわたる皇室の維持について議論が交わされました。私もヒアリング対象者として、旧皇族でふさわしい方の皇籍復帰を主張しました。ただ、18年に悠仁親王がお生まれになったことで、男系男子が減っていることへの手立ての議論はうやむやになり、今にいたります。

 皇統の危機の問題は解決されていない。皇位継承者の安定的な確保のため、このたびの陛下による問題のご提起を入り口にして、男系男子の維持に関する議論が再開されることを望みます。(奥原慎平)
記事 ソース  産経新聞
2016/11/20   より
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大原康男氏の理屈の「おられるだけで安堵感が得られる」では、天皇さまより法皇さまのほうが余程得られるのでは?
こう考えると天皇の終身在位にこだわる大原教授の主張は理に合わない主張ですよ。

仮に皇位の譲位制度を復活させても、心配ばかりしてないで政治の混乱を招かないようにするのが本物の政治ですよ 康男さん
中森明菜さん(斎藤浩一撮影)