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大地震発生直前の電離圏異常を検出 -マグニチュード7以上の大地震の直前予測の可能性-

・梅野健 情報学研究科教授、岩田卓也 同修士課程学生は、クエーサー電波検出に用いられる複数局電波干渉をヒントに、複数 GPS観測局データに対する相関解析法を開発し、マグニチュード 9.0 の 2011 年東北地方太平洋沖地震の本震、マグニチュード 7.3 の三陸沖地震(2011 年東北地方太平洋沖地震の前震)、マグニチュード 7.1 の東北地方太平洋沖地震の余震の直前に上空の電離圏電子数の異常を捉えることに成功しました。本研究成果は、マグニチュード7以上の大地震発生1時間前から 20 分前の直前予測の可能性に道を開くものであり、今後公開データのみを用いる本手法の地震直前予測能力の第三者検証が進むことが期待できます。

本研究成果は、米国地球物理学連合(American Geophysical Union)の科学誌 Journal of Geophysical Research - Space Physics に 2016 年 9 月 30 日付けで掲載されました。


背景

地球上空には電離圏と呼ばれる電子が広がるが存在し、衛星通信にしばしば遅延や測定誤差をもたらす要因となっています。電離圏は地震火山太陽フレアなどの自然現象やミサイル発射などの人為的事象によって影響を受けます。電離圏電子数の観察によるマグニチュード 8 以上の巨大地震発生前の異常検出は、2011 年東北地方太平洋沖地震の本震直前に電離圏電子数の異常増加現象が発見されて以降、注目され研究されてきました。これらの従来のデータ解析法では、その異常を検知するために地震発生後のデータが必要で地震の直前予測には直接利用できず、又、異常が検知されたにも関わらず、該当する巨大地震が発生していないなどの予測誤差があるなど、未だ確固たる異常検知用法として確立されていませんでした。また、マグニチュード8以上の地震の電離圏電子数の異常は検知されていましたが、それ以下のマグニチュード7クラスの地震では異常は検知されていませんでした。


研究手法・成果

本研究では、従来の研究で用いられてきた、一つの GPS 観測局だけで異常を検知するのではなく、はるか数十億光年の彼方にあるクエーサー等の電波星(準星)から放射される電波を、複数のアンテナで同時に相関を取ることで受信可能にする電波計測技術であるVLBI(Very Long Baseline Interferometry: 超長期線電波干渉法)にヒントを得ました。まず、それぞれの GPS 観測局で、観測データを基に電子数を予測します。予測した電子数と実際に観測される電子数との違いを予測誤差とし、予測誤差が大きければ異常が大きいと判断します。次に基準となる GPS 観測局と周囲の複数 GPS 観測局とで得られた予測誤差の同時刻相関を取り、その総和を計算することで異常検知における時間精度を高め、更に、ノイズに対する頑強性―信号対雑音比(SN 比)―を格段に増大させることにより、約1時間以上前から異常が検知できた 2011 年 3 月 11 日に発生したマグニチュード 9.0 の東北地方太平洋沖地震だけでなく、同年 3 月 9 日に発生したマグニチュード 7.3 の三陸沖地震、同年 4 月 7 日に発生したマグニチュード 7.1 の東北地方太平洋沖地震の余震といったマグニチュード 7 クラスの大地震においても、電離圏の電子数の異常が、検知できることを発見しました。異常検知に用いているデータは、全て地震の発生前の国土地理院が運営する GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)連続観測システムGEONET(GNSS Earth Observation Network System)、が日本全土を密にカバーする約 1300 局ある観測局から得られる公開データのみであり、誰もが本手法による異常検知とその検証が可能です。今まで、マグニチュード 8 以上の巨大地震でのみ電離圏電子数の異常が検知されたことから、この電離層電子数の異常が巨大地震の直前特有の前兆現象と考えられてきました。しかし今回、複数観測局の相関をとることにより、マグニチュード 7 程度の大地震の直前に於いても、2012 年 12 月 7 日のマグニチュード 7.2 の三陸沖地震以外では、震源地に近い場所でこの電離圏電子数の異常が約 20-30 分前の時点で検知されることが明らかになりました。


波及効果、今後の予定

本研究成果は、マグニチュード7以上の大地震発生1時間前から 20 分前の直前予測の可能性、マグチチュード7以上の大地震警報システム構築に道を開くものであり、今後国土地理院 GEONET で公開するデータ等を用いて、本手法の異常検知能力の第三者検証が進むことが期待できます。

また、東北地方大洋沖地震以外の国内外の大地震にも本手法を適応し、以下の課題の解明に取り組む予定です。


<論文タイトルと著者>

タイトル:Correlation Analysis for Preseismic Total Electron Content Anomalies around the 2011 Tohoku-Oki Earthquake

著者:岩田 卓也(Takuya Iwata), 梅野 健(Ken Umeno)

掲載誌:Journal of Geophysical Research - Space Physics

DOI:10.1002/2016JA023036.


<イメージ図> 



図 1: 発見された平成 23 年(2011年)東北地方太平洋沖地震直前1時間前から見られる GPS 観測局と周辺 30 局との相関 C(t)の時間変動の様子。観測された相関のうなりの周期は約 25 分。 


図2:東北地方太平洋沖地震発生時刻の平成 23年 3 月 11 日 14 時 46 分の 4 分前の 14 時 42 分に観測された相関値 C(t)の分布図。黒の■が震源地を示し、青色の線がプレート境界を示す。赤色の点が異常を示す観測局を示す。 

NEWSソース  日本の研究.COM
2016/10/04


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マグニチュード7以上の大地震の直前予測の可能性
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