中国電力の清水希茂社長は28日、2045年度の完了を予定する島根原子力発電所(松江市)1号機の廃炉に向けた計画を、立地する島根県と松江市に説明した。清水社長は「安全を最優先に進めていく」と表明。島根県の溝口善兵衛知事は「各段階ごとに関連自治体への説明を適切に行ってほしい」と要望した。中国電は県・市の了解を得たうえで、原子力規制委員会に計画を申請する。1号機の廃炉作業がようやく動き出す。

 廃炉計画は4段階に分かれる。16年度から約6年間を「解体工事準備期間」とし、核燃料物質の搬出など施設の本格的な解体に向けた準備を進める。22年度から8年間は「原子炉本体周辺設備等解体撤去期間」とし、原子炉本体を除く設備の解体撤去をする。30~37年度に原子炉本体の解体撤去を実施。38年度からは残る原子炉建屋を解体撤去して、45年度までに全作業を完了する計画だ。ただ、今年度からの調査の結果を踏まえ、計画を見直していく。

 1号機に貯蔵している使用済み核燃料は再処理施設へ全量搬出する。30年度の原子炉本体の解体作業開始前に再処理事業者に譲り渡す。使用前の燃料も22年度までに加工事業者へ渡す。譲渡までは既設の燃料プールや貯蔵庫で管理する。

 核燃料物質への対応について、松江市の松浦正敬市長は「計画に沿ってできるだけ早く(使用済み核燃料を)搬出していただきたい」と述べた。県、市は今後、それぞれの有識者会合に諮り、各議会の意見も聞いたうえで計画に対する回答をする。中国電は今年度上期にも作業を開始することを目指す。

 合わせて、安全審査中の島根原発2号機に関して、テロなどに対応する「特定重大事故等対処施設」の設置といった安全対策計画も説明した。16年度から設計・工事に入り、21年度をメドに完成させる。清水社長は「安全対策費は今年度がピークとなる」と話し、昨年度の安全対策費(600億円程度)を上回る可能性を示唆した。安全対策費は累計で4000億円超になる見通しだ。

 島根原発1号機は1974年に営業運転を開始した。10年には多数の点検漏れが発覚し運転を停止。再稼働への準備を進めていた矢先に東日本大震災が発生した。

 13年7月に施行された原発の新規制基準で、運転開始から40年を超える原発の継続には大規模な補修が必要となった。多額の費用が見込まれることから、15年3月に廃炉を決定した。当初は半年をメドに具体的な廃炉計画を策定する予定だったが、同年6月に発覚した島根原発の点検記録偽造問題の対応を優先し、作業が滞っていた。

島根原発1号機廃炉計画、中国電「安全を最優先」 地元に説明
記事 ソース  日本経済新聞
2016/05/01   より