慰安婦誤解、独り歩きの責任の一端は「朝日」にあり 明星大教授・高橋史朗

ジュネーブで2月16日に開催された国連女子差別撤廃委員会の対日審査会合で、外務省の杉山晋輔外務審議官が慰安婦問題についてのオーストリア出身の委員の質問に対して、朝日新聞の誤報が国際社会に大きな影響を与えたとし、「『20万人』との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めている」と指摘した。

 これに対し朝日新聞は18日、外務省に申し入れ文書を提出し、朝日誤報の国際的影響について「朝日新聞の慰安婦報道を検証する第三者委員会」の林香里委員らの「国際的影響はなかった」という見解を引用して、杉山発言が「根拠を示すことなく」行われたことに抗議した。

 また、「弊紙は20万人という数字について、女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」とした。

これに対して岸田文雄外相は23日の記者会見で、「発言の中身は従来説明してきた内容で問題ない」と一蹴した。既に一昨年9月15日の国連人権理事会で、日本政府代表は韓国の声明に対して、クマラスワミ報告書等に言及しつつ、次のように反論していたのである。

 「日本の大手新聞社の記事が、最近、同新聞社の検証結果を踏まえ、撤回されたことを報告したい。20万人との数字については、女子挺身隊と慰安婦との混同によるもの、強制連行については、関連証言を行った人物の虚偽であったことが明らかになった。このように、メディアの情報が、国連へ提起されたこれらの報告書に影響を与えたことは大変残念である」(拙著『「日本を解体する」戦争プロパガンダの現在-WGIPの源流を探る』宝島社、参照)

 「従来説明してきた内容」ならば、一体なぜ杉山審議官はクマラスワミ報告書等への言及を避けたのか、という疑問は残るが、朝日新聞はなぜこの時点で外務省に抗議しなかったのか。

今回の開き直りというしかない朝日新聞の申し入れについて反論したい。

 朝日新聞第三者委員会が「国際社会に与えた影響」について両論併記にとどめたことは致命的な欠陥といわざるを得ず、これを批判した「朝日新聞『慰安婦報道』に対する独立検証委員会」の報告書(日本政策研究センターが英文版も併せて発行)は、「第三者委員会報告は記事の数的分析のみ行い、内容の分析がされていないという重大な欠陥がある」ことを明らかにした。

 林香里委員は吉田清治をキーワード検索した結果、「国際社会に対してあまり影響がなかった」と結論づけたが、吉田に言及しなくとも明らかに吉田証言に依拠ないし参照したと思われる記事は数多く存在し、朝日新聞が早い段階で吉田証言を取り消していれば、その悪影響を防げたことは明らかである。

 米国主要紙や韓国紙は朝日新聞が「92年1月強制連行プロパガンダ」を行う以前は、慰安婦問題について取り上げていなかった。ちなみに、2012年8月30日付朝鮮日報社説は、92年1月11日付朝日の「軍関与」資料や吉田証言を強制連行の根拠として挙げている。



また、朝日は「女子挺身隊と慰安婦の混同」を認めたわけだから、直接20万人という数字が「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになった」と報じていないにせよ、両者の混同が原因で20万人という数字が独り歩きした原因については、朝日にもその責任の一端があるといわねばならない。朝日誤報の国際的影響は同独立検証委員会報告書により明白に立証されている。

                  

【プロフィル】高橋史朗

 たかはし・しろう 元埼玉県教育委員長。明星大教授のほか、麗澤大道徳科学教育センター客員教授。親学推進協会会長。男女共同参画会議議員。



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NEWSソース 産経新聞
2016/03/03 より