日本経済新聞  2016/02/27(土)

人工知能で3省連携

文部科学省と経済産業省、総務省は、2016年度から共同で、人工知能(AI)の研究開発に乗り出す。10年間で約1000億円を投じ、理化学研究所など5機関で研究する。参加機関の研究計画を束ねる研究者主導の戦略センターを設置して予算配分を委ね、企業との共同研究を推進。基礎から応用まで一貫した研究を進め、世界に立ち遅れている人工知能開発で巻き返し、新産業の創出につなげる狙いだ。

 研究を実施するのは文科省所管の理研(RIKEN)と科学技術振興機構(JST)、経産省の産業技術総合研究所(AIST)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、総務省の情報通信研究機構(NICT)の5機関。

 理研は研究者100人を擁する中核拠点、AIPセンターを今夏までに設置する。産総研は昨年5月に発足した人工知能研究センターを拡充して産業界との共同研究を進め、情通機構は脳情報通信融合研究センターで脳科学と人工知能をつなげる研究に取り組む。JSTとNEDOは大学や企業などの研究者が広く参加する人工知能プロジェクトを立ち上げる。


戦略センターは16年度の早い時期に設置する。5機関のAI研究のトップで構成し、どの機関にも属さない研究者をセンター長に招く。複数の機関が似たような研究をすることがないよう、全体を見通して研究テーマを選定し、予算配分を決める。企業からの共同研究の相談窓口にもなる。

AIは研究の進展が速く、世界の動向に機動的に対応する必要がある。研究の実際を把握している研究者にマネジメントを委ねて意思決定を速め、研究を加速する。 理研と産総研は、政府が今国会に提出する法案で、特定国立研究開発法人に指定される見通し。優れた研究者を高額で雇用できるようになるほか、所属する研究者が企業や大学の役職を兼任しやすくする制度を設け、産学との連携を推進する。


AIは米国が年間300億円以上、欧州が200億円程度の予算を投じて研究を進めており、米グーグルなど民間企業も積極的に投資している。日本は人材と資金の不足から、立ち遅れが否めない。 政府は16年度から始まる第5期科学技術基本計画でAI研究を強化し、ロボット技術や材料開発と組み合わせて新製品やサービスを生み出す技術基盤を構築することを目標に掲げている。

人工知能開発に産学組織  ドワンゴや東大、脳の働き数式化
日本経済新聞  2015/10/12(月)

  動画配信大手のドワンゴや東京大学など産学官の研究者らが連携し、人のようにひらめきや思考力に優れた人工知能(AI)の開発に乗り出す。このほど次世代 AIの研究団体「NPO全脳アーキテクチャ・イニシアティブ」を立ち上げ、数年以内に100人規模に広げる。トヨタ自動車など30社以上から1億円以上の 研究資金を調達予定で、進化するAI技術を各社の事業に生かす。

研究団体はドワンゴ人工知能研究所の山川宏所長や東京大学の松尾豊准教授らが参加し、ドワンゴに事務局を置いた。2030年までに科学者のように発明をしたり、人の心情を考慮して小説を書いたりするAIを目指す。

 開発したAIは研究の参加者に開放する方針。ネット配信するコンテンツの自動制作や天候の急変や事故に対応する自動運転車、どんな人が相手でもきちんと手伝える人型ロボットが実現できる期待がある。

新しいAIは汎用人工知能と呼び、人間の脳の働きを丸ごと数式化する。最低限の知識を教え込むだけで、初めて手にした道具の使い方や言語を自ら学ぶようになると考えている。土台となるAIを参加者に公開し、情報技術や神経科学の専門家らが改良を加える。

現在のAIは脳の一部の機能をまねたにすぎない。ルールを与え、翻訳や画像処理といった作業ごとに設計が必要だ。汎用人工知能は米グーグルがゲームの攻略法を学んで人間に勝つAIを開発するなど研究開発が活発になっている。


人工知能 10年で1000億円  文科省要求へ 都内に研究拠点 
日本経済新聞  2015/08/26(水)

  文部科学省は人工知能(AI)の研究開発に、今後10年間で1000億円を投じる方針だ。2016年度中に研究拠点を東京都内に設け、国内外の大学や企業 の研究者が数百人規模で連携できる体制を整える。10年後に人工知能を活用して高度な医療や工場の生産革命の実現を目指す。

文科省は関連する費用約100億円を来年度予算案の概算要求に盛り込む。総事業費は1000億円を見込んでいる。
政府は6月に閣議決定した新たな成長戦略で、あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(インターネット・オブ・シングス)を活用し、新たな産業の創出 を目指すことを盛り込んだ。米国や中国などに比べて出遅れている人工知能の国際競争力の強化が大きな課題となっている。

  拠点は理化学研究所に設ける。人工知能のほかに、IoTや膨大な情報を解析するビッグデータ、サイバーセキュリティーの4分野の研究に取り組む。例えば、 患者に取りつけたセンサーで生活習慣や体調のデータを集めて人工知能で分析し病気の予兆を探し出すほか、工場の製造ラインを人工知能が制御して不良品の発 生を抑えながら最適な生産をするといった成果が見込まれる。

人工知能は米グーグルの検索サービスや米アマゾン・ドット・コムのEC(電子商取引)サイトでは、利用者の嗜好を予測して検索したり商品を示したりする機能に使われている。
省庁の地方移転に逆行する政府 人工知能で東京に戦略組織 、文科・経産・総務の3省連携、企業と研究加速
記事ソース   シニア・スローライフの裏側 
2016/02/28 より